帽子の素材

服地と同様、帽子には多種多様なものが材料として使われますが、そのうち主なものを紹介します。

 

フェルト
自然素材の天然麦わら帽子
フェルト帽体とは、獣毛の縮絨性を利用して、直接円錐型の帽子の型に作ったもの。大別すると、ウール(羊毛)とファー(兎毛)とがあります。水分と熱を加えて圧縮摩擦すると、互いに絡み合い縮絨します。金型または木型に入れて成型加工します。表面の仕上げ型によって、プレーン仕上げのほかベロア仕上げやアンテロープ仕上げ等があります。

 

布帛
服地と同様あらゆる繊維の布地が使用され、現在の帽子の最大の部分を占めている。表用記事として、綿、麻、毛、絹、合繊等の織物や編物、不織布などを使用し、通常頭部には裏地が入れられる。また、型を保つため芯地が使われる。

 

ブレード
自然素材の天然麦わら帽子
ブレードとは、真田(サナダ)ともいい、糸を編んで平らな帯状に組んだもの。これをミシンまたは手縫いで、木型に合わせながら渦巻き状に帽子の形に縫い上げて帽子にする。いろいろな繊維でできているが、代表的なものを列挙する。麦(麦の茎が材料。麦真田。Straw Braids)、ペーパー(セルローズコートした紙テープ。Paper Braids)、グログラン(横糸に太い糸を使用して両側に耳組織を作らない畝織リボン。Grosgrain Braids)。

 

天然草
夏の帽子の代表的な材料で、樹皮や木質内の繊維または草を原料とし、帽体用に一つずつ手で編んだもの。編み方に石目(平編)、アジロ編(綾編)、かぎ編(こま編)などがある。代表的なものを列挙する。
自然素材の天然麦わら帽子
①本パナマ

南米ペルー・コロンビア・エクアドル産のトキヤ(ヤシ科の木)の葉の繊維を編んだ最高級材料。最近、エクアドルでは世界無形伝統文化財に登録された。パナマの名称は産地の主たる集散地に由来する。

②シゾール(Sisal)

アフリカ産のサイザル麻の繊維を裂いて編んだもの。

③ラフィア

アフリカののマダガスカル産の草の繊維を編んだもの。

④ケンマ草

中国産の麻の一種 アフリカののマダガスカル産の草の繊維を編んだもの。

⑤バオ

アフリカ産のBao Bao という一種の巨木(パンヤの類)の茎を裂いて編んだといわれているが、現在では中国産の藤の類の繊維を編んだものが多い。

 

ニット
自然素材の天然麦わら帽子
羊毛、綿、麻、合繊などの素材を使って編んだもの。機械編みや手で編んだものがある。

 

皮革
様々な種類の皮がある。代表的なものを列挙する。
自然素材の天然麦わら帽子

もっとも一般的な原皮で、皮の表面に加工を施すことにより幅広い用途に使用されている。

牛の皮に比べると強度は劣るが、きめの細やかさや柔らかさは抜群。

鹿

日本の古代から愛用されている。軽くて丈夫な上、通気性がよいため広い用途で利用されている。

牛の皮に比べ摩擦に強く、柔らかくしたり固くしたりできる。スエード仕上げは人気が高い。

牛の皮に比べ厚みや強靭性でやや劣るが、原皮が大きく柔軟性では優れている。

斑紋や鱗模様を持つヘビ革はファッションには欠かせない素材のひとつ。

 

全日本帽子協会 『帽子のハンドブック』参照